野口ゼミ in アメリカ

校外実習テーマ

21世紀に受け継がれるアメリカン・インディアンの思想・抵抗・コミュニティ

主な訪問先

アリゾナ州アパッチ保留地(White River Apache)、ホピ保留地、ナバホ保留地
カリフォルニア州トュールリヴァー保留地、サンタ・ロザ保留地(Santa Rosa Rancheria)

                                              

 

先生からのメッセージ

アメリカ合衆国の中には、国家や州からの独立した自治権をもつ567のインディアン部族(国家)が存在します。かれらはヨーロッパ諸国や移民に土地を奪われた結果、現在、保留地(Reservation)と呼ばれる居住地へ移住を強いられました。現代のインディアン部族(国家)は、何を守り、何を変えながら「アメリカ的なもの」に抵抗しようとしているのか。郊外実習では4つの異なる部族を訪れることで、こうした問題を考えていきたいと思います。
インディアン社会は「与え尽くし」の文化であふれています。私たちはインディアン社会から学ぶ(与えられる)だけではなく、インディアン社会に何を返せるか。ワークショップや交流会を通して、歌、踊り、あるいは私たちの大切な何かを伝え(与え)る機会を持つことも郊外実習の大切な目的です。

ゼミ生からのメッセージ

「マイノリティ」。野口ゼミ内ではそういった印象で学んできた先住民の地を訪れ、私たちはその地に残りたいと思いました。

この実習で訪れた先住民は、車に乗り、スマホを使い、洋服を着て「現代的」な生活を送っています。この一見私たちと変わらない彼らの社会から、インディアンの「豊かさ」を知りました。

部族のパレードでは、抱えきれぬほどのプレゼントを頂きました。部族儀式を見学していると部族料理をご馳走してくれました。これが「与えつくしの精神」かと思いましたが、与えるのは物だけではありません。彼らの歴史や文化、祈りに込める思いを、時には涙を浮かべながら語ってくれました。

「与えつくし、でもそれなら私たちもやっている」。と思うかもしれません。しかし、私たちは見返りや利益、賞賛を求めているように思えます。いわば、「行為的循環型社会」。対して、インディアンは私的利益を求めない、「結果的循環型社会」のようでした。どちらの社会にもメリットとデメリットがあります。インディアンがなぜそうするのかという詳細は、僕にはまだ理解できませんし、彼らも上手く説明できないようでした。でも、素敵な考え方で大好きです。

しばしば、豊かな国とは経済発展国を指します。利益や評価が「豊かさ」をはかるのであれば、インディアン社会は豊かではないでしょう。しかし、祖先や家族への思い、旅人への温かいもてなし、受け継がれる語りや歌、授けられた名前、壮大な自然、部族の誇りと、インディアン社会は確実に「豊かさ」であふれていました。

自分たちの「豊かさ」の基準によって、「私は不幸だ」、「援助してあげたい」、そういった気持ちが生まれます。不幸と思い込んで自殺、本当は必要でないモノを送るというケースもあるでしょう。「豊かさは多様である」、これを知っていることがまずは大事なのではないでしょうか。

温かく、心にゆとりある生活を送る彼らとの時間を過ごし、私たちは先住民の地でこのまま共に暮らしたいと思いました。それがマイノリティに仲間入りすることだとは思いません。「与えつくし」のとおり、彼らからは学ぶことばかりでした。

彼らが与えつくしてくれたと同時に、私たちも彼らに日本の文化や説明の難しい「日本人の精神」を伝えました。彼らの心の中で、何か新しい「豊かさ」が生まれてくれていたら、私はうれしいです。
(野口ゼミでは、校外実習日誌と、他のゼミ生の感想集も作成しています。私とは違った視点もたくさんあるので、ぜひ読んでみてください!)

国際学科 徳冨雅人