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これらの例と同様に、作り手の人生や感情を強く反映しており、作品から彼の人生を強く読み取ることができました。◯ウィーンの音楽文化(学生F) 今回のコンサートシリーズで2曲目に演奏された、ロベルト・フックスの『テルツェット』がとても印象に残りました。この曲を聴き、軽やかな旋律であるのに複雑で深みがあるという印象を持ちました。彼の音楽は、決まったカテゴリーに入れるのが難しいです。それは、彼が様々な要素を取り入れ、独自の音楽として確立させているためです。 彼はウィーン音楽院の教授でもありました。ウィーンは「音楽の都」とも言われており、周辺のヨーロッパ諸国からは大勢の著名な音楽家が学びに訪れてきました。これは、当時オーストリアの王家である、ハプスブルク家が自国の音楽へ莫大な投資をしたことが背景にあります。スペインのグルックや現在でいうドイツのサリエリなどの、当時非常に優れた才能を持ったオペラ作曲家を宮廷楽長として迎え入れたことで、音楽文化がウィーンに根付いたのです。 このような戦略によってウィーンには実力のある音楽家が集まりました。このような環境で多様な表現に触れて刺激を受けたことが、フックスの音楽性に影響していたのではないでしょうか。◯演奏旅行の影響を受けたモーツアルト(学生G) 途中からの参加だったため、『愛の挨拶』以外はYouTubeで聴きました。モーツアルトが故郷のザルツブルクで作曲した『ディヴェルティメント(喜遊曲)ヘ長調』のディヴェルティメントとは、18世紀中ごろに誕生した明るく華やかな器楽組曲で、貴族の祝宴などの場で演奏された室内楽のことを意味します。また、語源はイタリア語で楽しい、面白い、気晴らしなどを意味するDivertireです。その通り、モーツアルトのディヴェルティメントも第一ヴァイオリンがメインで明るく華やかな印象を受けました。 モーツアルトが生まれた、ザルツブルクは大司教の街といわれ、当時のウィーンのように有力貴族が多くおらず、音楽を嗜む層に欠けていました。そのため、モーツアルトはウィーンなどに演奏旅行に行っていたそうです。モーツアルトの音楽は演奏旅行で訪れた場所の影響を受けています。今回の『ディヴェルティメント(喜遊曲)ヘ長調』も、イタリア旅行後に作曲されたもので、イタリア音楽の影響を受けているのだと思います。もし、モーツアルトがウィーンなど音楽を嗜む層の多くいる地域で生まれていたら、演奏旅行も少なく、他国の音楽の影響を受けた作品も誕生しなかったのではないでしょうか。◯イギリスとピアノ(学生H) フックスの曲は「革新的」ではなかったためにあまり注目されなかっとということです。ただ、初めて聴きましたが、古臭くて革新的ではないという印象はなく、勇ましく20世紀の映画音楽として流れてきそうな綺麗な曲でした。二流かどうかの区別というのはどのようにしてわかるのと気になりました。サウンドスケープと平和研究(最終報告)7

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