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図表6 日本のマネタリーベースとマネーストック2.4.2.貨幣量増減の経路をめぐる従来の解釈(出所)日本銀行時系列統計データ検索サイト2.4.3.従来の解釈の誤りとそれに代わるより正確な解釈 以上、すでに広く知られている貨幣量増減の経路を紹介した。次に、その経路の観察に基づいて、政策当局の意図通りに貨幣量は増やせないと研究者たちが解釈する理由を説明する。 中銀が貨幣量を意図通りに増やせないと思われている理由は、図表6が示すように、中銀によって直接供給される貨幣(マネタリーベース)の増加率と、マネタリーベースを利用した貸出・預金の信用創造によって増える貨幣(マネーストック)の増加率に差があるからである5。 この観察に基づき、最初に供給される貨幣であるマネタリーベースは中銀の意思で増やせるが、それをいくら増やしても民間が貸し借りを増やさなければマネーストックは増えない、という解釈がなされる。マネタリーベースが増えて金利が下がれば、確かに民間の貸し借りが増えやすくはなるが、マネタリーベースと一定の比率でマネーストックが確実に増えるわけではないので、前者が後者を強くコントロールできるわけではないという解釈になる。また、マ ネーストックは民間部門の貸し借り(信用創造)によって増えるものであると解釈され、信用創造の説明の中に政府は登場しない。 だが以上のような従来の説明には誤りがあることを指摘したい。そしてその後はそれに代わるより正確な説明を提示する。貨幣経済の仕組み95

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